[16]『GO』 (金城一紀/講談社) 2002/4/24 [読書]
爽やかさと疾走感を併せ持ちながら、社会問題にも真っ向から向かっている、とても懐の深い作品だ。”在日”問題を扱ったという触れ込みから、ハードな社会派作品を期待した人にとっては、ちょっと物足りなく感じるのかもしれない。だけど”問題”なんて人によって捉え方の重さは違う。自分は自分。作者は、他ならぬ自分の目で、最後までこの恋愛と社会問題の織りなす作品を書き上げている。
最初にも描いたが、本当に爽やかさが残る作品である。家族、恋人、友人、差別・・・。際どい所はあるが、どろどろとした重苦しい話はない。とても読みやすく、最後まであっさり読める。そして読み終わる頃には、この本を通して語られる”想い”が読む人を前向きにさせ、何かを考えさせる。そんな、”懐の深さ”があると思った。
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