[37]『東京奇譚集』 (村上 春樹/新潮社) [読書]
村上春樹ワールドはかなり抑えられていつつも、ポイントポイントでエッセンスが盛り込まれており、淡々とした話に起伏が持たされている。こういった非現実的な要素を、あたかも普通にそこにある現実的物事のように描く氏の描写力は、本当に素晴らしいと思う。帯にある、「不思議な、あやしい、ありそうにない話。しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない物語。」という説明書きが言い得て妙で、転じて物事は、ほんのちょっと見方を変えるだけで、非現実のものも現実と受け入れられるし、不思議な物は不思議でなくなるものだよ、と言われている気がする。
本書で登場する物語も、およそ現実の事か非現実のことなのか分からないが、少なくとも描写されている人物の想いや心の動きは、確実に実在するであろうもので、とても心に響くものとなっている。
本書で登場する物語も、およそ現実の事か非現実のことなのか分からないが、少なくとも描写されている人物の想いや心の動きは、確実に実在するであろうもので、とても心に響くものとなっている。
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